・お供えの花として正しい選び方とマナー
・宗教別(仏教・神道・キリスト教)のお供え花の違い
・お盆のお供え花の選び方と定番の種類
・お供え花と供花・仏花の違い
・造花 vs 生花、どちらがいいか
・花屋への注文方法・伝え方・季節別のおすすめ花
大切な人を亡くしたとき、またご法事やお墓参りのとき、「どんな花を選べばいいの?」「こんな花はNGなの?」と迷う方は多いです。
お供えの花には、心のこもったマナーと選び方があります。花屋歴20年の私が、知っておきたい基本から宗教別のマナー、季節別のおすすめ、造花と生花の違いまで丁寧に解説します。
お供えの花の基本マナー
お供えの花を贈る際には、いくつかの基本マナーを押さえておきましょう。
色の選び方
お供えの花の色選びは、時期によって異なります。
四十九日まで(忌中):白を中心に。入れてよい色は「白・黄・紫」の3色まで
四十九日以降(忌明け後):「白・黄・紫・ピンク・淡いオレンジ」なども可。明るい色も徐々に取り入れてよい
法事・回忌法要:白・黄・紫を基調に。華やかになりすぎない落ち着いた色合いで
本数の選び方
仏壇や仏前に供える花は、奇数本が基本とされています。1本では寂しいので、3本・5本・7本が一般的です。偶数は「割り切れる=縁が切れる」とされ、お祝いごとに使う本数のため、お供えには奇数を選ぶのがマナーです。
「対」で供えるのが基本
仏壇の左右に同じ花をひと対(2つ)で供えるのが正式なスタイルです。ただし、お墓参りやご自宅への持参の場合は、1束でも問題ありません。
「お供え花」「仏花」「供花」の違い
お供えに関連する言葉はいくつかありますが、それぞれ使われる場面が異なります。花屋に注文するときも、正しい言葉を使うとスムーズに伝わります。
仏花(ぶっか):仏壇に日常的に供える花。家庭で日々の供養として飾るもの。長持ちする菊などが定番
お供え花:法事・お墓参り・ご自宅訪問の際に持参する花。贈答の意味合いが強い
供花(くげ・きょうか):葬儀・告別式の際に贈る花。フラワースタンドや花環の形が多く、式場に飾られる
花屋に相談するときは「葬儀用ですか?法事用ですか?仏壇用ですか?」と聞かれることが多いです。正確な用途を伝えると、その場にふさわしい花を選んでもらえます。
「どんな花を持っていけばいいですか?」とご来店されるお客様には、まず「四十九日前か後か」「お墓参りか仏壇か」を確認しています。それだけで選べる花がずいぶん変わりますので、ぜひ花屋さんに伝えてみてください😊
宗教別のお供え花マナー
日本では仏教・神道・キリスト教など、宗教によってお供えの花の選び方やマナーが異なります。葬儀や法要に参列する前に確認しておきましょう。
仏教(仏式)のお供え花
日本で最も多い仏教の場合、お供えの花は「五供(ごくう)」のひとつとして大切にされています。五供とは「線香・花・ろうそく・水・食べ物」の5種類です。
仏教のお供え花は、白を基調とした落ち着いた色合いが基本です。菊・カーネーション・トルコギキョウ・ユリ・デンファレなどがよく使われます。四十九日を過ぎてからは、薄いピンクや紫も取り入れられます。
神道(神式)のお供え花
神道では、お供え物は「神饌(しんせん)」と呼ばれ、米・酒・塩・野菜・海産物など食品が中心です。花については仏教と同様、白い花を基本に選ぶのがマナーです。菊・カーネーション・ユリ・カスミソウなど、白を中心にまとめましょう。
神道の葬儀(神葬祭)では「玉串(たまぐし)」を捧げる儀式があります。「供花」として花を持参する場合は、白い花束を持参するのが一般的です。
キリスト教のお供え花
キリスト教には、仏教や神道のような「お供え物」の概念がありません。そのため、葬儀や記念礼拝では「お供え」ではなく「献花」として生花を贈ります。
・白・ピンク・黄色など明るい色合いが好まれる(喪のイメージを重視しない)
・花かご(バスケットフラワー)スタイルが多い
・持参する花に「名札(芳名札)」は付けない
・仏教のような「のし・掛け紙」は不要
・ユリ・カーネーション・ガーベラなど種類は幅広く選べる
キリスト教式の葬儀では「ご霊前」などの仏教用語は使いません。「お悔やみ申し上げます」と伝えるのが正しいマナーです。花を贈る場合は「お花を贈らせていただきます」と伝えれば問題ありません。
宗教が違うと花の選び方もずいぶん変わりますよね。わからないときは「お相手の宗教は仏教ですか?神道ですか?」と花屋に教えてもらえれば、ぴったりの花をご提案できます。遠慮なく聞いてください😊
お供えにおすすめの花
菊(キク)— 最も定番のお供え花
お供えの花といえば菊が最も定番です。白菊・黄菊・紫菊が特に多く使われます。菊がお供えに選ばれる理由は主に3つ。
①花言葉に「高貴・高潔」があり、故人への敬意を表せる
②白色が清らかさを象徴する
③花持ちがよく、長期間きれいな状態を保てる
カーネーション
白やピンクのカーネーションは、法事や仏壇のお供えに向いています。特に白いカーネーションは「純粋な愛情・哀悼」の意味があり、お供えにふさわしい花です。
トルコギキョウ(リシアンサス)
白や薄紫のトルコギキョウは、お供えの花として近年人気が高まっています。花持ちがよく、優雅な見た目がお供えの場に落ち着いた美しさをもたらします。
デンファレ(デンドロビウム・ファレノプシス)
白や薄紫のデンファレも、葬儀や法事のお供えによく使われます。凛とした美しさがあり、長持ちするのも特徴です。
ユリ
白いユリは「純粋・崇高」の花言葉を持ち、お供えに向いています。ただし、香りが強いため、閉め切った室内や仏壇に飾る場合は、香りが気にならないか確認するとよいでしょう。
NGな花・避けるべき花
お供えの花には、選ぶべきでない花があります。次の4種類は避けましょう。
とげのある花:バラ・アザミなど。とげは「争い・傷つける」を連想させるためNG
毒のある花:スズラン・スイセン・水仙など。仏前に毒草は不適切
ツルのある花:スイートピー・クレマチスなど。「ツルが絡む=未練が残る」とされることがある
強い香りの花:香りが強すぎる花は、狭い仏壇前では不快になる場合がある
派手な色の花:赤や原色のまぶしい花は、特に忌中は避けた方が無難
お盆のお供え花について
お盆はご先祖様が家に帰ってくる時期とされており、お供えの花を用意する方も多いです。地域によってお盆の時期は「7月盆(新盆)」と「8月盆(旧盆)」に分かれますが、いずれもご先祖様をお迎えする大切な行事です。
お盆のお供え花の基本
お盆のお供え花も基本は白を中心にした落ち着いた色合いです。ただし、四十九日が過ぎているご家庭では、夏らしい明るい花を取り入れる方も増えています。
菊:定番中の定番。白・黄・紫が基本。花持ちがよく真夏でも長持ちする
リンドウ:深い青紫色が印象的。お盆の花として全国的に定番
ケイトウ:夏〜秋が旬の花。鮮やかな赤・オレンジが夏らしく、仏花として人気
スターチス:紫・白・ピンクで非常に長持ち。ドライフラワーにもなる
グラジオラス:縦長の形が凛々しく、お供えの花束に高さと存在感をプラス
ユリ:白や薄ピンクが清楚でお盆にもふさわしい。開花中と蕾を混ぜると長く楽しめる
お盆のお供え花は奇数本(3本・5本・7本)にし、仏壇の左右に2束ずつ供えるのが正式なスタイルです。
お盆のシーズンになると、お供え用の花をお求めになるお客様が増えます。夏は暑さで花が傷みやすいので、花持ちのよい菊やリンドウ、スターチスがおすすめです。猛暑日が続く時期は造花も検討してみてくださいね🌸
季節別のおすすめお供え花
お墓参りや法事は季節を問わず行いますが、その季節に出回っている花を取り入れると、故人に「今の季節ですよ」と伝える気持ちが込められます。
春(3〜5月):スイートピー(ツルのないタイプ)・チューリップ(白・紫)・フリージア・桜(枝もの)など。菊に春の花を加えると季節感が出る
夏(6〜8月):菊・リンドウ・ケイトウ・スターチス・グラジオラス。暑さに強い花を中心に選ぶ
秋(9〜11月):菊(秋菊・スプレー菊)・リンドウ・竜胆・アスター。秋らしい落ち着いた色合いでまとめる
冬(12〜2月):菊・カーネーション・ユリ・アルストロメリア・トルコギキョウ。寒い時期は花が長持ちしやすい
シーン別の選び方
葬儀・通夜のお供え
白を基調とした花が基本です。菊・白いカーネーション・白いトルコギキョウなどを中心に選びましょう。生花店に「通夜用の花束を」と伝えれば、適切な花を選んでもらえます。
法事・法要のお供え
四十九日以降の法事では、白・黄・紫に加えて、薄いピンクや淡いオレンジも使えます。落ち着いた色合いでまとめると上品な印象になります。
お墓参りのお供え
お墓参りには、お墓の水受けに挿しやすい長さの花束が向いています。菊やカーネーション、リンドウなどが定番。季節の花を添えることで、故人に「今の季節のお花です」と伝える気持ちも込められます。
お墓の花は風雨にさらされるため、丈夫で長持ちする花を選ぶのもポイントです。
仏壇のお供え
仏壇には小さめの花を左右対称に飾るのが正式です。菊の小輪タイプやカーネーション、トルコギキョウなどが飾りやすく人気です。花立ての大きさに合わせた長さで購入しましょう。
造花 vs 生花、どちらがいいか
お供えの花といえば生花が基本と思われがちですが、最近では造花(アーティフィシャルフラワー)やプリザーブドフラワーを使う方も増えています。それぞれのメリット・デメリットを整理しました。
生花のメリット・デメリット
・自然な美しさと香りで、仏壇やお墓が一番きれいに見える
・「命の儚さを感じる」という仏教的な意味を持つ
・季節の花を取り入れて故人への思いを伝えられる
生花のデメリット
・1週間〜10日程度で枯れるため、こまめな交換が必要
・夏場は特に早く傷む
・水替えや手入れの手間がかかる
造花のメリット・デメリット
・枯れないため交換の手間がなく、管理が楽
・費用を長期的に抑えられる(1,000〜3,000円程度で長期間使える)
・花粉・香りが出ないため、アレルギーの方でも安心
・お墓参りの頻度が少ない方、遠方の方に特におすすめ
造花のデメリット
・生花と比べて質感・香りが人工的に見える場合がある
・宗教施設(寺院・神社)によっては造花を好まないところもある
結論:どちらでもOKです。仏教において「命の花=生花をお供えする」という意味がある一方で、造花やプリザーブドフラワーを否定する明確なルールはありません。お供えで一番大切なのは、故人やご先祖様を想う気持ちです。頻繁にお墓参りや仏壇の手入れができる方は生花を、難しい状況の方は造花・プリザーブドフラワーを選ぶなど、状況に合わせた選択で構いません。
花屋への注文方法・伝え方
お供えの花を花屋に注文するとき、何を伝えればいいか迷うことがあります。以下のポイントを伝えるとスムーズです。
①用途:「葬儀」「法事」「お墓参り」「仏壇用」など
②時期:「四十九日前」「四十九日後」「お盆」「年忌法要」など
③宗教:「仏教」「神道」「キリスト教」(わかる場合)
④予算:3,000円・5,000円・10,000円など
⑤渡し方:「持参する」「郵送したい」「お店から直接届けてほしい」など
これらを伝えれば、花屋がその場にふさわしい花と形でご用意します。わからない部分は「どんな花がおすすめですか?」と気軽に聞いてください。花屋はこうした相談に慣れています。
「生花と造花どっちがいい?」とよく聞かれますが、お墓参りが頻繁にできない方には造花や長持ちする花をおすすめすることもあります。ご状況に合わせてご相談ください。どんな質問でもお気軽にどうぞ🌸
よくある質問
Q. 赤いバラをお供えしてもいいですか?
A. バラはとげがあるためお供えには向きません。また赤は忌中のお供えには明るすぎる色です。故人がバラを特に好んでいた場合を除いて、お供えには菊やカーネーションなどを選ぶのがよいでしょう。
Q. 花の持参と郵送、どちらがいいですか?
A. ご遺族のご自宅へ持参できる場合は手渡しが最も丁寧です。遠方の場合は、花屋から直接お届けする郵送サービスを利用するとよいでしょう。その際は「お供え」として贈る旨を花屋に伝えると、適切な花とラッピングで手配してくれます。
Q. 予算はどのくらいが目安ですか?
A. お供えの花束は3,000〜10,000円程度が一般的です。関係の深さや法事の規模に合わせて決めましょう。葬儀への供花(フラワースタンド)は10,000〜30,000円程度が目安です。
Q. 造花をお供えしても失礼になりませんか?
A. 造花を否定する明確なルールはありません。お墓参りの頻度が少ない方や、遠方にお住まいでこまめに花を替えられない方は造花でも十分です。ただし、宗教施設(寺院・神社)によっては生花を好む場合があるため、心配であれば菩提寺に確認してみましょう。
・四十九日前は白・黄・紫の3色以内で選ぶ
・菊・カーネーション・トルコギキョウが定番でおすすめ
・とげ・毒・ツルのある花は避ける
・宗教によって花の選び方・マナーが異なる
・お盆には菊・リンドウ・ケイトウ・スターチスが定番
・仏壇には奇数本、左右対称が基本
・造花 vs 生花は状況に合わせて選んでOK
・迷ったら花屋に「法事用」「お墓参り用」と伝えて相談する

